今からはじめる信用取引!

今まで現物取引がメインで株式投資を行っていた方から、信用取引の経験があるものの完全には理解が深まっていない方を対象に解説したいと思います。

*文章内の手数料、費用等は原則当社のインターネット信用取引規定に準じます。

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信用取引って何?

信用取引とは、投資家が証券会社に委託保証金を差し入れて、資金や株式を借りて行う株式取引です。
一方で、投資家自身で用意した現金で株式を購入、売却を行うのが現物取引です。
一般的な売買手法と言われる現物取引ですが、信用取引の経験者も年々増えています。

個人の売買に占める現金・信用取引のシェア(2017年・売買代金ベース)では現金が42%、信用取引が58%となっています。(東京証券取引所 投資部門別 株式売買状況 東証第一部 より)

同じ銘柄でも現物で買う場合と、信用で買う場合ではルールが異なります。
これに関しては今後、少しずつご説明していきます。
また、信用取引は株式の総合取引口座とは別に「信用取引口座」の申し込みと与信(信用を供与する)審査が必要になります。金融機関から融資を受けるときに審査が行われるのと同じです。

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資金や株式を借りるとは?

現物取引では用意した現金の範囲内で株式を購入します。

信用取引ではまず、担保となる現金や有価証券を証券会社に預けます。
信用買いの場合、最大で預けた担保の約3倍まで、資金を借りて株式を買うことができます。なお、資金を借りるため金利の支払いが必要で、当社の制度信用取引の場合では金利が年2.8%となっています。
約定代金100万円の場合、年間で2.8万円ですから365日で割ると1日あたり約76円になります。

信用新規売りの場合、最大で預けた担保の約3倍相当まで株式を借りて売る(売却)ことができます。こちらは金利ではなく、貸株料を年率1.1%で支払います。

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委託保証金率とは?

委託保証金率とは、信用取引において新規建てを行うために必要な委託保証金の約定(やくじょう)代金に対する割合です。当社の委託保証金率は30%です。
例えば、約定代金1000万円の新規建てをする場合、約定代金の30%に相当する300万円を委託保証金として差し入れる必要があります。

現物取引で約定代金200万円の株式を購入する場合は200万円の現金が必要です。便宜上、手数料等の費用は考慮しないでご説明します。
信用取引では200万円の30%である60万円があれば、200万円の株式を購入することができます。

仮に余裕資金が200万円であった場合、現物取引で200万円を使ってしまうとそれ以上の運用は不可能になってします。
一方で信用取引を利用して200万円の株式を購入すると、30%の60万円しか必要ありませんので残りの140万円を別の商品で運用することができます。
ただし、相場動向によっては追加の保証金が必要になる場合もありますので、ある程度の余裕をもった運用が望ましいでしょう。

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代用有価証券と二階建て取引について

委託保証金として、現金の代わりに有価証券を差し入れることができます。この差し入れた有価証券を代用有価証券といいます。
また、有価証券の種類によって、保証金として使用できる掛目が決められていて、株式の場合、原則として前日終値の80%となっています。 (当社の判断により掛目の変更等(代用有価証券からの除外を含む)が行われる場合があります。)

例えば、Aという現物株式を100株保有していて、前日の株価が10,000円であれば、
100株×10,000円=1,000,000円 の80%である 800,000円を委託保証金として利用することができます。

代用有価証券と同一の銘柄を、信用取引で新規買いをする取引を「二階建て取引」といいます。
これは相場が下落した場合、信用建玉の評価損が膨らむだけではなく、代用有価証券の評価も下がるために非常にリスクが高い取引といえます。
そのため、当社では二階建て取引を原則として禁止とさせていただいております。

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2種類ある信用取引

信用取引には制度信用取引と一般信用取引の2種類があります。
一般的に、多く利用されているのは制度信用取引です。

制度信用取引ができる銘柄には新規買いと新規売りの両方ができる「貸借銘柄」と新規買いのみができる「貸借融資銘柄」があります。
また、制度信用取引では返済期限が6か月であることが取引所規則で決められています。返済期限とは期日(きじつ)と言われ、その日までに返済等の対応が必要になります。
当社の期日は法定期日の前営業日となっており、ご対応の確認がとれない場合は翌営業日に当社の任意で決済することになります。

一方で、一般信用取引はお客様と当社の間で返済期限などを自由に設定できる信用取引です。当社で取り扱っているのは新規買いのみで、新規売りはお受けしておりません。
返済期限は原則無期限ですが、上場廃止・株式併合・合併・株式交換・株式移転等があった場合は、当社が定める期日が返済期限となります。
なお、買方金利が年4.00%と制度信用取引の2.80%よりも高めになっています。(2018年7月25日現在)

→比較表

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新規買いをしてみる

たとえば、A銘柄を1,000円で700株、信用新規買いを行うとします。
約定代金は1,000円×700株ですから700,000円になります。
この場合、投資家は当社から700,000円を年2.8%の金利で借りてA銘柄を買うことになります。

当社の委託保証金率は30%なので700,000円×30%で210,000円がこの取引で必要な保証金となります。
しかし、210,000円の保証金を預託すれば取引が始められる訳ではありません。
当社では、信用取引に必要な最低委託保証金を300,000円と定めておりますので少なくとも300,000円の預託が必要です。

その後、株価が1,300円に上昇したため返済売りを行いました。
1,000円で買い、1,300円で売ったため一株当たりの利益は300円となり、
この取引全体では
300円×700株で210,000円の利益になりました。
*手数料等、諸費用、税金等は考慮していません。

取引の方法は現物取引と似ていますが、300,000円の保証金を用いて210,000円の利益が出たとすると資金効率の点で優れていると言えます。
もちろん予想に反して下落した場合は預託した保証金の額に比べて多額の損失を被ることとなりますのでリスクも大きくなります。
また、信用取引では損失が預託した保証金の額を上回る可能性もありますので、取引に当たっては十分な注意が必要です。

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新規売りをしてみる

今度は、B銘柄を1,000円で1,000株、信用新規売りを行います。
この場合、投資家は当社からB銘柄を1,000株借りて1,000円で売却することになります。
約定代金は1,000円×1,000株ですから1,000,000円になります。

その後、株価は900円に下落したため買戻し、当社にB銘柄を返しました。
買戻しの費用は1,000株×900円=900,000円 になります。売却代金の1,000,000円との差額である100,000円が利益になります。
こちらも予想に反して上昇した場合は損失になります。
*手数料等、諸費用、税金等は考慮していません。

現物取引では買いから始めて売りで損益を確定します。株価が右肩上がりの場合は良いのですが、株価が低迷すると利益を出すのが難しくなります。
一方で信用取引では売りから取引ができますから下落相場でも利益を狙うことが可能になります。
ただし、信用新規買いの場合は、株価が下がって0円になっても建玉金額以上の損失は発生しませんが、信用新規売りの場合は株価が無限に上昇する可能性があるので、損失の可能性も無限大であるため、信用新規買いと比べてよりリスクの高い取引と言えます。

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信用取引でかかるコスト

現物取引と同様に信用取引にも取引手数料がかかります。
また、取引手数料の他に下記のような諸経費が必要になります。


信用新規買いで必要なコスト

  • 買方金利
    資金を借りて株を買うために金利の支払いが必要です。
  • 管理費
    信用建株の約定日より1ヶ月を越えるごとに発生します。
  • 名義書換料
    信用買建株に対し、本決算や定款で中間決算等を定めている銘柄の決算基準日、 株式分割等の権利割当の基準日等の権利割当日を越えるごとにかかります。

信用新規売りで必要なコスト

  • 貸株料
    株式を借りて売ることになりますので貸株料が必要です。
  • 管理費
    信用建株の約定日より1ヶ月を越えるごとに発生します。
  • 逆日歩
    信用取引の売方の残高が多くなり、株券の調達が困難になった際には逆日歩(品貸料)を売方は支払い、買方は受け取ります。 (制度信用取引のみ)

以上のように信用取引は現物取引と違い、様々な経費がかかります。中長期の取引ではなく、短期の売買に向いていると言えましょう。

手数料・諸経費

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配当金はもらえる?株主優待は?

現物取引では権利確定日に株式を保有していれば、配当金を受け取ることができます。
また、持ち株数に応じて自社製品や優待券などを無料で配布する株主優待制度の対象にもなります。
さて、信用取引で信用買建株を保有していた場合はどうなのでしょうか?

答えは、配当金は厳密には受け取ることはできませんが、配当調整金(配当金調整額もしくは信用配当金ともいいます。)として証券総合口座に入金されます。

なお、株主優待に関しては対象になりません。

権利確定日について

配当金を受け取るには特定の日の時点で株式を保有し、株主であることが必要です。この日を権利確定日と呼びます。

多くの場合、月末が基準日になるので、その日に株主であればいいのですが、株式の場合、受け渡しをするのが約定日から起算して4営業日目となるため、月末から4営業日前までに購入することが必要です。

2018年8月であれば28日(火)までに購入すれば月末の31日(金)に受け渡しが成立しますので、28日(火)が権利付最終日となります。
なお、28日(火)の権利付最終日の翌日である29日(水)は権利落ち日と呼びます。

配当調整金について

配当調整金は、下記計算式により算出されます。

配当調整金=配当金−所得税源泉徴収相当額(所得税源泉徴収相当額=配当金 × 15.315%) 〜2037年12月31日まで

信用で信用買建株を保有して権利確定日をまたぐと配当調整金を受け取ることができます。
逆に信用で信用売建株を保有して権利確定日をまたぐと配当調整金を買い建て側に支払うことが必要になります。

 国内株式の委託手数料について

手数料には「一般コース」「ハイパーアクティブコース」の2つのコースがあります。
各コースの手数料の詳細はこちらをご覧ください。

 信用取引のリスクについて

信用取引は、少額の委託保証金で多額の取引を行うことができることから、時として多額の損失が発生する可能性を有しています。したがって、信用取引の開始にあたっては、下記の内容を十分に把握する必要があります。

  • 信用取引を行うにあたっては、株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の変動や、投資信託、投資証券、預託証券、受益証券発行信託の受益証券等の裏付けとなっている株式、債券、投資信託、不動産、再生可能エネルギー発電設備、公共施設等運営権、商品、カバードワラント等(以下「裏付け資産」(※1)といいます。)の価格や評価額の変動に伴い、信用取引の対象となっている株式等の価格が変動することによって損失が生じるおそれがあります。また、その損失の額が、差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。
  • 信用取引の対象となっている株式等の発行者又は保証会社等の業務や財産の状況に変化が生じた場合や、裏付け資産の発行者又は保証会社等の業務や財産の状況の変化が生じた場合、信用取引の対象となっている株式等の価格が変動することによって損失が生じるおそれがあります。また、その損失の額が、差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。
  • 信用取引により売買した株式等のその後の値動きにより計算上の損失が生じたり、代用有価証券の価格が値下がりすること等によって、委託保証金の現在価値が売買代金の20%未満(※2)となった場合には、不足額を所定の期日までに当社に差し入れていただく必要があります。
  • 所定の期日までに不足額を差し入れない場合や、約諾書の定めによりその他の期限の利益の喪失の事由に該当した場合には、損失を被った状態で建玉(信用取引のうち決済が結了していないもの)の一部又は全部を決済(反対売買または現引・現渡)される場合もあります。更にこの場合、その決済で生じた損失についても責任を負うことになります。
  • 信用取引の利用が過度であると金融商品取引所が認める場合には、委託保証金率の引上げ、信用取引の制限または禁止の措置等をとることがあります。
    ※ 詳細は、各取引所で公表されている「日々公表銘柄の指定等に関するガイドライン」及び「信用取引に係る委託保証金の率の引上げ措置等に関するガイドライン」でご確認いただけます。
  • 金融商品取引法第37条の6の規定の適用はありません。(クーリング・オフの対象にはなりません。)

このように信用取引は、お客様の投資した資金に比べて大きな利益が期待できる反面、価格の変動が予想と違った場合には、損失も大きくなります。したがって、信用取引を利用するときは、その仕組みをよく知り、お客様自身の判断と責任において行うようお願いいたします。


※1 裏付け資産が、投資信託、投資証券等である場合には、その最終的な裏付け資産を含みます。
※2 営業店取引(20%未満)、コールセンター取引、 インターネット取引・オールアクセス取引(25%未満)となります。


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